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† ご 案 内 †
シモーヌ・ヴェイユとクロード・レヴィ=ストロースは、わずか二ヶ月の年齢差であり、激動の20世紀前半、世界を席巻していた空気とその違和を、敏感に感じ取っていたと言えるでしょう。1930年代半ばに、ヴェイユは “工場生活” へと、レヴィ=ストロースは “ブラジル” へと赴くわけですが、彼らを突き動かしていた原動力とは、いったい何なのでしょうか。そしてまた、きわめて個的な描出であるように思われるヴェイユ著『重力と恩寵』(1947) とレヴィ=ストロース著『悲しき熱帯』(1955) が、なぜ多くの人の心を捉え、それぞれの実在を覚醒させる力を持ちうるのでしょうか。
文化人類学と藝術との往還に鋭い視線を投げかけ続ける、今福龍太氏と港千尋氏をお招きし、とりわけ、ヴェイユ著『重力と恩寵』(筑摩書房、春秋社)、今福龍太著『ミニマ・グラシア 歴史と希求』(岩波書店)、港千尋著『愛の小さな歴史』(インスクリプト)の三冊を頂点とする三角形をえがきつつ、世界の悪に対して藝術と思想は、美の閃光をもってどれほどの善を呼び覚ますことができるのか、その醸し出される閃光を待ってみたいと思います。
ヴェイユから大きな影響を受けて映画制作を続けるジャン=リュック・ゴダール (1930-) の1950年代から今日に至るまでの藝術表現の変遷や、ヴェイユとほぼ同時代に映像作家と文化人類学者という二極を同時に生きたマヤ・デレン (1917-1961) の藝術と学問との往還などを射程に入れるならば、ヴェイユと「何か」がぶつかったときに生じる「ずれ」、「亀裂」、「閃光」は、3時間の時間の流れのなかで、ギャラリー・マキの空間をどのように変貌してゆくのでしょうか。
乞うご期待。
† 付 記 †
なお、この対談は、『現代詩手帖 シモーヌ・ヴェイユ特集号』(思潮社、2010年上半期刊行予定)への収録を予定しています。
今福龍太 文化人類学者・批評家
東京外国語大学大学院 地域文化研究科教授。サンパウロ・カトリック大学 記号学・コミュニケーション学科大学院客員教授。2002年より遊動型の野外学舎である奄美自由大学を主宰。著書に『クレオール主義』(ちくま学芸文庫)『ここではない場所』(岩波書店)ほか多数。近著に『ミニマ・グラシア 歴史と希求』(岩波書店)、『ブラジルのホモ・ルーデンス サッカー批評原論』(月曜社)、『群島–世界論』(岩波書店)、『サンパウロへのサウダージ』(みすず書房)『身体としての書物』(東京外国語大学出版会)、『ブラジルから遠く離れて 1935-2000』(サウダージ・ブックス/港の人)などがある。
港千尋 写真家・批評家
多摩美術大学美術学部情報デザイン学科教授。2006年、写真展「市民の色 chromatic citizen」で第31回伊奈信男賞受賞。2007年ヴェネチア・ビエンナーレ日本館コミッショナー。写真集に『波と耳飾り』『明日、広場で』(ともに新潮社)、『瞬間の山』『文字の母たち』(ともにインスクリプト)などがあり、著書に『記憶 ―「創造」と「想起」の力』(講談社選書メチエ)、『映像論』(NHKブックス)、『予兆としての写真』(岩波書店)、『自然 まだ見ぬ記憶へ』『レヴィ=ストロースの庭』(ともにNTT出版)、『愛の小さな歴史』(インスクリプト)、『書物の変―グーグルベルグの時代』(せりか書房)などがある。
今村純子 思想史・藝術倫理学
慶應義塾大学・女子美術大学・武蔵野美術大学非常勤講師。主な訳書にミクロス・ヴェトー著『シモーヌ・ヴェイユの哲学』(慶應義塾大学出版会)、著書として『シモーヌ・ヴェイユの詩学』が近刊予定。
