
上野雄次のはないけ所作と、関さなえのソロダンス。
茅場町にあるマンションの小さな一室、ギャラリーマキでそれぞれに公演を続けて
きた二人が、この大きなスペースで今回初めてのコラボレーションを行います。
花道家の上野雄次が披露している “老木” は、
どんな建物を立てる際にも組まれては解体される足場の資材、単管(タンカン)で
活けられました。その “老木” の前の限られた舞台上で、
“立てなくなったダンサー” 関さなえが、独自な身体表現に挑みます。
音を通じてのみ伝えられるカタチとモノの変化と、
立ち上がることのないからだの僅かな動きを、“経過” として過ごす時間の中に、
皆さまもどうぞいらっしゃってください。
隅田川の向こう側へと立とうとする、小さな二人のパフォーマンスを通して、
今、世界で起こっていることに圧し潰されない場所の一つを、
想像してみる機会になればと思います。
上野雄次・はないけ × 関さなえ・ダンス コラボレーション公演
■日 時:3月7日(土) 開場 19:00 開演19:30
3月8日(日) 開場 16:30 開演17:00 → 8日公演 満員御礼!
■会 場:アサヒ・アートスクエア スーパードライホール4F
→ アクセス方法はこちらです!(アサヒ・アートスクエアのサイトへ)
■前売券:3,500円 当日券:4,000円 (自由席 1ドリンク付)
※リピーター割引あり。(2日目の3月8日公演が 1,000円引となります)
※車椅子でご来場の方に割引あり〈バリアフリー情報〉←クリック
(ご本人様 1,000円引。また、付き添いのヘルパー様も1,000円引となります)
▼予約+問い合わせ:月にささるとげ
または FAX:03-3297-0717 まで!

Across The Sky Heart ─『喜びの海』に寄せて─
生野 毅(俳人)
Planet earth is blue
And there’s nothing I can do ─ David Bowie
前衛華道家とダンサーがコラボレーション・ライヴを行なうという前例のない試みである『喜びの海』の一方の出演者である上野雄次は、なるほど、そもそもは四季おりおりのあまたの花々や木々を贅としつつ類い稀な美の空間を織り上げる “黄金の腕” の持ち主であるにちがいない。 しかし上野の本当の凄みは、その磨きぬかれた華麗なテクニックそのものを激しく揺さぶり、「いけばな」という言葉の自明性を解体するばかりか、観る側が作品行為に向き合う時の「かく在る」べき時空間を(そして、「かく在る」彼自身の存在自体を)瞬時にして変質させてしまう、彼の身体そのものから突き上げる、不思議な清冽さを伴った暴力性ともいうべき衝迫力にある。彼のはないけライヴは、武術をも想起させるその所作の鮮やかさが観客の目を奪いつつも、本当に驚かされるのは、天然のものであれ人工物であれ彼が贅とする素材によって、時にはむせかえるほどに芳醇な人工庭園を築き上げてゆく創造の過程が、彼自身によってたちまち粉砕され、空爆直後の瓦礫や荒涼たる原野を思わせる時空間を現出させてしまうことだ。 そして彼はその硝煙漂う風景の中で、なおも、新たに創造の行為へと向かってゆく。 それはいわば創造と破壊のフーガであると言える。
『喜びの海』のもう一方の出演者、関さなえは、自らの身体性のシステムに対して極めて忠実なダンサーである。 初めて彼女のダンスを観た時、それは過剰な情念の一切を身にまとうことを拒絶し、その稀に見るしなやかで細やかな旋回や屈伸や移動が、彼女の内に秘められた精巧なシステムによって作動し、緻密きわまりなく身体の制御と解放が行なわれている、といった印象を受けた。 といってそれは決してメカニックな運動性ということではない。 身体が「かく在る」こと自体がもたらす「空」の状態が、彼女の身体の内と外にたえず空隙をもたらしてゆき、そのことが彼女の佇む時空間に精密な切断と変容の作用を与えてゆくのだ。 それ故、関のダンスにはいつも独特の透明感が漂っているが、彼女が即興性を重視し始め、またコラボレーションという他者の経験を経てゆく過程で、その透明感は持続しつつも、精巧な身体のシステムは多様な色彩と陰影の変調を反映させていった。 過剰な情念性は排しつつも、身体のシステムそのものがデカダンの翳りをふと宿したり、外界への痛烈なアンチパシーを自ずから機能させたこともある。しかし「空」の状態は持続し、彼女は永遠に、変容する世界の屈折率を待機している者のように次なる機会へ息をこらし続けるのだ。
痛切なまでに「かく在る」ことによって、また別の「かく在る」を召喚する上野雄次と関さなえ。この二人が対峙する時、いかなる衝突と融和が現出するのか、今なお長い薄明に包まれたままだ。 しかし、今言いうるのは「かく在る」こととは、言葉も音楽もなく、後にはないけやダンスとして昇華されていった「表現」がはないけやダンスではなく生きる、交わる、戦うという「行為」そのものであった太古から現代、そして未来に至るまでの我々の実存の根底のことであり、それ故、上野と関によって開示されるのは、我々が抗う、我々が立つ、我々が目指す、といった我々の原初的な衝動に根ざした、言うならば最も純粋で無償の労働ともいうべきもの、「表現」ならざる「行為」に限りなく近いのではないか、ということだ。 そこでは「喜び」はしばしばそれ自体が深い痛苦に満ち、「海」はしばしば絶望的なまでの深さと速さを指し示しているかもしれない。 しかしそれは決して「哀しみの海」ではありえないだろう。 スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』の「人類の夜明け」において、人類の祖先である〈月を見るもの〉(アーサー・C・クラークの小説版ではこのように呼ばれている)が、動物の骨を初めて武器/道具であると見出した刹那にあげる咆哮(まさに喜び!)を思い出してみればよい。 上野と関の「行為」を目撃することによって観客たちは「喜びの海」を自らの身体の内に見出し、21世紀の〈月を見るもの〉たちとなるのかもしれない。
企画/プロデュース:月にささるとげ
スーパーバイザー:坂巻喜美子
プランニング/美術/照明:上野雄次
プロデューサー:わだつばさ
制作チーフ:加藤和美
制作デスク:吉田京子
はないけ所作:上野雄次
ダンス:関さなえ
美術製作/客席プラン・設営:上野雄次 関裕司 渡辺弘
製作・設営スタッフ:高井康充 西村賢二 李 江嵐
製作・設営・制作アシスタント:Charmy&Baby…石川祥史 – 小野裕美子 -
清水亮介 – 末沢佑也 – 青柳桃子 - 岡部翔太 -
合田萌美 – 荒井理恵子 – 高橋勇太 – 湯浅亮平
舞台監督:加藤和美
衣装:pino
照明スタッフ:今井未希 丸尾明日香
音楽協力/音響:わだつばさ
受付スタッフ:加藤和美 吉田京子
岩下みのり 鈴木和代 山口明子
協力:生野毅 春木麻衣子
DM画像/デザイン:わだつばさ
スペシャルサンクス:浅川志保 小俣和代 金谷幸未 菊池由紀子
小林紀子 佐藤有世 佐藤靖穂 多田裕美子
ダンスカンパニー レゾナンス 長谷川六 濱田保
宮木静江 吉本裕美子(敬称略/50音順)
協賛:アサヒビール株式会社 もんじゃ麦
〈バリアフリー情報〉
●ご来場ルート
アサヒアートスクエア スーパードライホールは4階になりますが、
下記のバリアフリー(段差なし)ルートでご入場いただけます。
※1階エントランスホールへは階段があり、バリアフリーになっていません。
1.吾妻橋からの道沿いにほどなくして、
アサヒアートスクエア地下駐車場への入口がございます。
(車でお越しの方はこの駐車場も利用可能です。料金:300円/30分。)
2.地下への駐車場入口には、
車道とは別に人が行き来するためのスロープがあります。
スロープをくだって地下1階エレベーターホールへとお越しください。
(車椅子ご使用の方専用のエレベーターがございませんので、
通常のエレベーター〔幅178cm×奥行き142cm〕をご利用願います。)
3.地下1階エレベーターホールから4階に上がっていただきますと、
4階エレベーターホールにいるスタッフがお席までご案内いたします。
●トイレ
隣のアサヒビール本部ビル1階にある、
「車椅子ご使用の方に対応したトイレ」をご利用いただけます。
お声を掛けていただければ下記のルートをスタッフが一緒にご案内いたします。
※4階ホールのトイレには段差があり、バリアフリーになっていません。
1.エレベーターでいったん地下1階へと降ります。
2.地下階からそのまま隣のアサヒビール本部ビルに行き、
1階にある車椅子ご使用の方に対応したトイレをご利用いただけます。
3.ホールへの再入場の際には、
同じルートを再び逆にたどることになりご面倒お掛けしますが、
どうぞご理解とご協力のほどよろしくお願いします。
