− 鳥子 t o r i k o −
生野毅の俳句朗読(没後10年・攝津幸彦句集を詠む)と
上野雄次のはないけ所作

〈余剰〉としての肉体、その滴りに階段の濡れた部分が黒い、ニックハイムにて踵を鳴らし、暗黒を跨ぐ白昼にワタクシは轢かれ、ワタクシは何度でも生まれた——「階段を濡らして昼が来てゐたり」。そうやってアナタもここへやってくる。膝をつき、頭部をたれ、背面で生きる上野雄次という徹底した影は、夜半の殺めを覗くような戦慄を与えながらも、肉体性は匂わせず、闇の分子としてひそかな分裂に耐えている(祈りの息を零して)。活ける/壊す所作によって増殖する生の一回性は、己の驚愕のうちに何かを擦り切らせていくようで、その何かとは闇、さらに研磨すると、生野毅という照らされた前面が烈しく露呈する。すでに両脇に夥しい死者を連れ、逃げ惑う鶏のように囲いのなかを移動しつづける。これが〈獲物〉か。背面ではなく、前面こそが狙われていると?声と歩行は闇に擦り切られるほどに肉体化し、ある一瞬で飛沫となるのだ。こっこっ(か)、こっこ、口中で羽化する、こっこっか、こ「国家よりワタクシ大事さくらんぼ」。——無意味が意味を覗きこみ、目が合った瞬間、濡れた巨大な歯が客席の闇からアナタを見つけだしている。柔らかなさくらんぼに今こそ歯を当てようと。
杉本真維子(詩人)
※引用句は『攝津幸彦選集』(邑書林刊・2006)より.
2月10日(土) 開演:午後6:30
2月11日(日) 開演:午後3:00
料金:2,500円(予約制)

俳句朗読:生野 毅

はないけ所作:上野雄次
監 修:関 さなえ
企 画:GALLERY MAKI
制 作:吉田京子
デザイン・写真:樋口清孝
※工事中